不動産の「囲い込み」とは、不動産会社が物件情報を他社に公開せず、自社だけで買主を探そうとする行為です。 岡山でも実際に、囲い込みが原因で売却が長期化し、値下げを余儀なくされたケースを多く見てきました。 囲い込みを防ぐ最大の方法は、仕組みを知り、売主自身がチェックできる目を持つことです。 不動産会社選びで失敗しなければ、売却はもっとシンプルで納得感のあるものになります。
  1. 囲い込みは仕組みとして起こり得る
     知らなければ、売主は簡単に不利な立場に置かれてしまう。
  2. 売れない原因は家ではなく売り方の可能性がある
     情報公開と会社の姿勢が結果を左右する。
  3. 不動産会社選びが売却成功の9割を決める
     査定額より説明の中身と透明性を見ることが重要。

「囲い込み」という言葉を聞いたことはあるけれど、正直よく分からない。
岡山で家を売ろうと考えたとき、多くの売主様がそんな不安を抱えています。
私自身、大手不動産会社に勤めていた頃、囲い込みが“当たり前”のように行われている現場を見てきました。そして独立後、岡山で800件以上の売却に携わる中で、「実は囲い込みが原因で売れなかった」というケースを何度も目にしてきたのです。
この記事では、一級建築士・宅地建物取引士としての視点から、囲い込みの正体と、岡山で実際に起きた被害の典型例、そして売主が失敗しない不動産会社の選び方を、専門用語を使わずに分かりやすく解説します。
読み終える頃には、「もう不動産会社任せで不安になる必要はない」と感じていただけるはずです。

囲い込みとは?売主が知らない不動産業界の仕組み

不動産売却がうまくいかない原因は、築年数や立地だけではありません。
建築士の目から見て「条件は悪くないのに、なぜか売れない」という物件の裏には、囲い込みが潜んでいることが少なくないんです。

囲い込みとは、簡単に言うと、不動産会社が売主から預かった物件情報を他の不動産会社に積極的に紹介せず、自社だけで買主を見つけようとする行為です。
その背景にあるのが「両手仲介」という仕組みです。

不動産会社は、売主と買主の両方を自社で仲介できれば、仲介手数料を双方から受け取れます。
もちろん違法ではありません。ただ、その利益を優先するあまり、
・他社からの問い合わせを断る
・「まだ反響はありません」と事実と違う説明をする
・売れない価格のまま様子を見る
こうした行動につながってしまうケースがあるのです。

売主様からすると、「プロに任せているのに、なぜ売れないのか分からない」という状態になります。
私はこれを「売主が一番情報を知らされない構造」だと感じています。

囲い込みが怖いのは、売却が長引くだけでなく、
「もう少し安くしないと売れません」
という値下げ提案につながりやすい点です。
本来は価格ではなく、売り方に問題があっただけかもしれないのに、です。

次の章では、岡山で実際に私が見てきた、囲い込みによる典型的な被害事例をお話しします。
「もしかして自分も?」と感じるポイントがあるかもしれません。

岡山で実際に起きた囲い込み被害の典型事例

「囲い込みの話は分かった。でも本当にそんなこと、岡山で起きているの?」
そう思われる方も多いかもしれません。

正直に言うと、私は岡山でこのケースを何度も見てきました。
しかも、売主様ご本人は最後まで「囲い込みされていた」と気づかないまま終わってしまうことも少なくありません。
ここでは、私が実際に相談を受けた中でも特に多い典型パターンをご紹介します。

「問い合わせは来ていません」と言われ続けたケース

岡山市中区で築20年ほどの戸建てを売却された方の事例です。
立地も悪くなく、建築士の目で見ても「価格さえ適正なら十分売れる家」でした。

ところが、売り出してから3か月。
売主様が不安になって問い合わせ状況を聞いても、
「今のところ反響はありません」
「内覧希望も特にないですね」
という返答が続いていました。

その後、別の不動産会社経由で私に相談があり、レインズ(業者専用の物件情報)を確認すると、
・登録はされている
・しかし、写真が極端に少ない
・詳細コメントがほぼ空欄

さらに、他社から問い合わせをすると「商談中です」と返されていたことも分かりました。
つまり、売主様には「反響なし」と伝えながら、実際は情報を止めていた可能性が高い状態です。

売主様は「うちの家は人気がないんだ」と思い込み、精神的にもかなり消耗されていました。

高額査定→売れない→値下げの負のパターン

これは岡山では本当によくある流れです。

最初に提示された査定額は、相場よりやや高め。
「この価格で売れますよ」と言われ、期待を持って売却をスタートします。

しかし、1か月、2か月経っても売れない。
すると不動産会社から、こんな提案が出てきます。

「反響が弱いので、少し価格を下げましょう」
「今がチャンスです」

建築士として見ると、最初から価格設定が原因ではなかったケースも多いんです。
本当の原因は、
・情報が十分に公開されていない
・他社に積極的に紹介されていない
この点にありました。

結果として、
「最初からこの価格なら、もっと早く売れたのに…」
という金額まで下げて、ようやく成約。
売主様は「仕方なかった」と納得しようとしますが、私は非常にもったいないと感じます。

建築士の目で見て分かった“売れない本当の理由”

囲い込みが疑われる物件を現地で見ると、共通点があります。

・構造的な欠陥はない
・致命的な劣化もない
・リフォーム前提なら十分検討される家

つまり、「売れない理由が建物にない」んです。

それでも売れない場合、原因はほぼ二択です。
1つは価格、もう1つは売り方。
そして、囲い込みがある場合、多くは後者です。

私は売主様にこうお伝えしています。
「家が悪いわけではありません。売り方が合っていなかっただけです」

次の章では、こうした事態を避けるために、
売主ご自身が“囲い込みされているかどうか”を見抜く具体的なチェックポイント
をお話しします。
ここを知っているかどうかで、売却結果は大きく変わります。

囲い込みされているかを売主が見抜くチェックポイント

囲い込みは、売主が何もしなければ気づけないケースがほとんどです。
だからこそ私は、「不動産会社を信用する・しない」の前に、
売主自身が最低限チェックできるポイントを知っておくことが大切だと考えています。

ここでは、岡山で実際の相談現場で私が確認しているポイントを、そのままお伝えします。

物件情報は本当に広く公開されているか

まず最初に確認してほしいのが、「情報の出し方」です。

・SUUMOやアットホームなどのポータルサイトに掲載されているか
・写真は十分な枚数が載っているか
・間取り、築年数、リフォーム履歴などがきちんと書かれているか

建築士の目から見ると、情報量が少ない物件は、それだけで不利です。
写真が5枚しかない、室内写真がない、コメントが薄い。
これだけで、検討対象から外されることも珍しくありません。

「これで本当に売る気がありますか?」
この質問を、ぜひ担当者にしてみてください。
明確な理由を説明できない場合は、注意が必要です。

内覧・問い合わせ状況の説明は具体的か

次に重要なのが、反響の説明です。

良い不動産会社は、
・いつ
・どの媒体から
・どんな問い合わせがあったか
を具体的に説明します。

一方で囲い込みが疑われるケースでは、
「特に反響はありません」
「今は動きが鈍いですね」
といった、曖昧な表現が続くことが多いです。

売主様には、こう聞いてみてください。
「今まで、何件くらい問い合わせがありましたか?」
「内覧は何組ありましたか?」

数字で答えられない場合、情報共有が不十分か、意図的に伏せられている可能性もあります。

媒介契約の種類と囲い込みリスクの関係

意外と見落とされがちですが、媒介契約の種類も重要です。

・一般媒介
・専任媒介
・専属専任媒介

この中で、囲い込みリスクが高くなりやすいのは、
専任媒介・専属専任媒介です。

もちろん、専任だから必ず囲い込みが起きるわけではありません。
ただし、
「他社にどのように情報を出すのか」
「レインズにはいつ登録したのか」
この説明をきちんとできる会社でなければ、専任はおすすめしません。

私は売主様に必ずこうお伝えしています。
「契約形態より大事なのは、情報をどう扱うかです」

次の章では、こうしたチェックを踏まえたうえで、
岡山で失敗しない不動産会社の選び方を、具体的に解説していきます。

失敗しない不動産会社の選び方【岡山版】

ここまで読んで、「囲い込みは怖い。でも、じゃあどの不動産会社を選べばいいの?」
そう感じている方も多いのではないでしょうか。

私が岡山で売却相談を受ける際、必ずお伝えしているのは、
『会社の名前』より『中身』を見ることが大切だという点です。
ここでは、囲い込みを避けるために、売主様が必ず確認してほしいポイントをお話しします。

査定価格より「根拠」を説明できる会社を選ぶ

一番やってはいけないのが、
「一番高い査定額を出した会社に任せる」ことです。

建築士として断言できますが、
高い査定額=高く売れる、ではありません。

信頼できる不動産会社は、
・なぜこの価格なのか
・どの事例と比較しているのか
・どの層の買主を想定しているのか
を、具体的に説明します。

逆に注意が必要なのは、
「このくらいなら売れますよ」
「今は相場が上がってますから」
と、根拠が曖昧なまま高値を提示する会社です。

岡山の市場はエリア差が大きく、
同じ市内でも中区・南区・北区で動き方はまったく違います。
その説明ができない会社は、慎重に考えた方がいいでしょう。

囲い込みをしない会社が必ず話すポイント

囲い込みをしない不動産会社には、共通点があります。

それは、
・「他社にも積極的に紹介します」と明言する
・レインズ登録のタイミングを説明できる
・広告の出し方(ポータル・チラシ・既存客)を具体的に話す

売主様は、遠慮せずにこう聞いてみてください。
「他の不動産会社から問い合わせがあった場合、どう対応しますか?」

この質問に対して、
曖昧な答えや、話を濁すようであれば要注意です。
透明性を大切にする会社は、必ず正面から答えます。

岡山で信頼できる不動産会社の共通点

岡山で長く売却に携わってきて感じるのは、
本当に信頼できる会社ほど、売却を急がせないということです。

・売主の事情を丁寧に聞く
・売らない選択肢も含めて説明する
・デメリットもきちんと伝える

こうした姿勢がある会社は、
結果的に囲い込みとは無縁です。

私は売主様に、最後にこうお伝えしています。
「不安を感じる相手に、大切な家は任せないでください」

次はいよいよ最後の章です。
囲い込みを避け、納得できる売却を実現するためのまとめと、
相談という選択肢についてお話しします。

まとめ|囲い込みを避けることが、納得売却への近道

ここまでお読みいただき、ありがとうございます。

囲い込みは、特別な悪徳業者だけが行うものではありません。
不動産業界の「仕組み」そのものが、知らないうちに売主様を不利な立場に置いてしまう。
私は大手時代の経験、そして岡山で800件以上の売却に携わる中で、その現実を何度も見てきました。

だからこそ大切なのは、
「任せきりにしないこと」
そして
「正しい知識を持つこと」
です。

囲い込みを知り、チェックポイントを押さえ、不動産会社の姿勢を見極めれば、
売却はもっとシンプルで、納得感のあるものになります。
あなたの家が売れない理由は、決して「家が悪い」からではないかもしれません。

囲い込みを知ることが、最大の防御になる

この記事でお伝えしたポイントを、簡単に振り返ります。

  • 囲い込みとは、物件情報を他社に出さず、自社だけで売ろうとする行為
  • 岡山でも、囲い込みが原因で売却が長期化・値下げにつながった事例は多い
  • 情報公開の量、問い合わせ説明、媒介契約の扱い方で違和感は見抜ける
  • 不動産会社選びは「査定額」ではなく「説明の中身」で判断する

この4点を知っているだけで、売却の失敗リスクは大きく下がります。

不安なまま売らず、まずは専門家に相談を

もし今、

  • なかなか売れない
  • 本当にこの価格でいいのか不安
  • 担当者の説明にモヤっとしている

そんな気持ちが少しでもあるなら、
一度立ち止まって、第三者の視点で見直すことをおすすめします。

私は建築士として、構造や劣化も含めて「その家の本当の価値」を見ます。
そして宅地建物取引士として、岡山の市場に合った売り方を一緒に考えます。

無理に売る必要はありません。
売らない選択肢も含めて、正直にお話しします。
「まず話を聞いてみる」だけでも構いません。

あなたの大切な家の売却が、
後悔のないものになるよう、全力でお手伝いします。

よくある質問(FAQ)

Q1. 囲い込みは違法ではないのですか?
A. 囲い込み自体は、現時点では明確な違法行為ではありません。ただし、売主に不利な説明をしたり、事実と異なる説明を行えば問題になります。だからこそ、売主が仕組みを理解することが重要です。

Q2. 専任媒介はやめた方がいいですか?
A. 一概にそうとは言えません。大切なのは契約形態よりも「情報をどう扱うか」です。レインズ登録や他社対応について、きちんと説明できる会社であれば専任でも問題ありません。

Q3. 今の不動産会社を途中で変えても大丈夫ですか?
A. 契約内容によりますが、変更は可能なケースがほとんどです。「おかしいな」と感じた時点で相談することが、結果的に損を防ぐことにつながります。

【最後の一言】

家は、ただの箱ではありません。
あなたやご家族の人生が刻まれてきた、大切な場所です。

その売却を、よく分からないまま進めてしまってほしくない。
私はそう思っています。

囲い込みの不安から解放され、
納得して次の一歩を踏み出せる売却を。
一緒に、最適な道を見つけましょう。