子育てを終えた夫婦の決断
(佐藤さんご夫妻/神奈川県藤沢市在住/60代前半)
「この家、大きすぎるかもしれない」ふたりきりの家で感じた違和感
子どもたちが結婚し、家を出ていった後も、私たち夫婦は30年以上暮らした一戸建てにそのまま住み続けていました。けれどある日ふと、夫がつぶやいたんです。「この家、大きすぎるかもしれないな」って。
その言葉に、私も思わずうなずいてしまいました。使っていない部屋がいくつもあり、毎日の掃除が大仕事。庭の手入れも年々しんどくなってきていました。何より、家の中が広い分、子どもたちがいた頃とは違って、どこか寂しい。音のないリビングでふたり並んで座っていると、空間の広さが心の隙間を浮き彫りにしてくるようで……。
「このままじゃ、家に振り回されて老後がしんどくなるかも」――そんな想いが、私たちの胸に静かに芽生え始めていました。
話し合いの末に出した結論「住み替えよう」
何度か話し合いを重ねたあと、「思い切って住み替えよう」と夫婦で決断しました。ですが、その一歩を踏み出すのは想像以上に勇気がいるものでした。
「今の家って、ちゃんと売れるのかな?」「駅近のマンションに引っ越すとして、どこに住もう?」「手続きって複雑じゃない?」――心配ごとは尽きません。特に、私たちは不動産の売却なんて人生で初めてのこと。何をどう始めたらいいのかも分からず、不安ばかりが先行していました。
それでも、「今のままじゃ気持ちも暮らしも前に進めない」と感じた私たちは、小さくても確かな一歩を踏み出すことにしたのです。
✅ ゆうきプランナーの補足
👉 自宅を売るべきか?残すべきか?夫婦ふたりの暮らしに必要な選択とは
人生の後半、子どもが巣立ったあとに残る家との向き合い方には、正解がありません。ただ、「今の生活に本当に必要な広さか?」という視点で考えてみると、答えは見えてくることがあります。
たとえば——
- 売却するメリット
→ 固定資産税や光熱費などの維持コストを軽減でき、身軽な暮らしへ転換できる - 賃貸に出すメリット
→ 思い出の家を手放さず、賃料収入で老後資金の足しにすることができる - そのまま住み続ける選択
→ 住み慣れた安心感を残すことができるが、メンテナンス負担や将来の処分リスクが続く
住み替えを考えるとき、感情と実務のバランスがとても重要です。特に60代以降は、健康や家族との距離、交通アクセスなども含めて「今よりも安心して暮らせる環境かどうか」を見つめ直すことが大切です。
心地よい暮らしを取り戻すための選択肢のひとつとして、売却という道がある――そんなふうに考えてみてもいいかもしれません。
不安の中で踏み出した「はじめの一歩」
まずは地元の不動産会社に相談してみた
「何から始めればいいのか、まったく分からない」――その不安を抱えたまま、私たちがまずやったのは、近所で長年営業している不動産会社に話を聞きに行くことでした。
正直、最初は少し緊張しました。でも対応してくれた担当の方がとても親身で、私たちの暮らしの背景や不安を丁寧に聞いてくれたんです。「売るかどうか迷っている段階でも大丈夫ですよ」と、焦らせることもなく、落ち着いた雰囲気で話を進めてくれたのが印象的でした。
「売却価格の相場はこれくらい」「このエリアなら購入希望者は多い」「駅近のマンションなら希望条件も叶いますよ」――そんな具体的な情報を聞いているうちに、ぼんやりとしていた選択肢が、少しずつ“現実の道”として見えてきたのを感じました。
私たちはその不動産会社に査定をお願いし、本格的に住み替えを考えるようになりました。
購入と売却、どちらを先にするか迷った結果…
「今の家が売れてから買うか? 先に新居を見つけるか?」――ここでまた悩みました。
老後の資金に余裕があるわけではありませんし、住宅ローンをもう一度組むのも難しい年齢です。かといって、先に売却してしまえば、引越し先が見つかるまでの間に住む場所がなくなるかもしれない……。
担当者から提案されたのは、「売却を先行して、必要なら仮住まいを利用する」というプランでした。一時的に賃貸に住むことにはなりますが、先に家を売ることで資金計画が明確になり、次の住まいも焦らず探せるというメリットがありました。
私たちの場合、売却がスムーズに決まり、幸いにも仮住まい期間を経ずに次の住まいへの入居ができました。でも、仮住まいの話を聞いておいたことで、精神的にとても安心できたのは大きかったです。
✅ ゆうきプランナーの補足
👉 住み替えを成功させるには?売却と購入、どちらを先にすべきか
住み替えにおいて、「売却先行」か「購入先行」かは、年齢や資金、家族の状況によって最適な答えが変わります。
- 売却先行のメリット
→ 手持ち資金が確定するため、次の購入計画が立てやすい。ローン審査にも安心感。 - 購入先行のメリット
→ 引越しの手間が1回で済み、仮住まいが不要。条件に合った物件があれば素早く対応可能。
ただし、どちらの選択でも「仮住まいの可能性」と「引渡しスケジュールの調整」は事前にシミュレーションしておくのがポイントです。
最近では、売却と購入の間に“つなぎ融資”を活用するケースや、引渡し時期を交渉して調整することも一般的になっています。信頼できる担当者がいれば、そのあたりの交渉もお任せできるので安心です。
「売ってから次を探す」「探してから売る」ではなく、“どちらの流れでもうまくいく備え”を持っておくことが、住み替え成功のカギです。
売却を終え、今の暮らしがはじまって
住み替えた今、「ちょうどいい暮らし」のありがたさ
新しい住まいは、駅から徒歩5分の分譲マンション。スーパーや病院もすぐ近くにあり、ちょっとした買い物も、通院も、気軽に行けるようになりました。バスや電車を使えば、子どもたちの家にもすぐ行ける距離です。
何よりありがたいのは、家のサイズが「ちょうどいい」こと。余分な部屋もなく、掃除の手間もぐんと減りました。大きな荷物は処分し、思い出の品は写真に残して、すっきりとした空間で暮らしています。
「このサイズ感、落ち着くわね」
そんなふうに微笑み合える時間が、今の私たちにはちょうどいい。
手放すことへの迷いはあったけれど、心は軽くなった
もちろん、家を売る決断には葛藤がありました。子どもたちの成長を見守ったリビング、誕生日やクリスマスを過ごしたダイニング……。玄関のドアを閉める最後のときには、やっぱり涙がこぼれました。
でも今は、思い出は心の中にしっかりと残っていて、新しい家での毎日が少しずつ、それに重なっていくのを感じます。
家は、人の暮らしを支える「器」。
器が変わることで、気持ちも前向きに切り替えられたのは、私たちにとって本当に大きな収穫でした。
あのとき思い切ってよかった。今は、心からそう思えています。
✅ ゆうきプランナーの補足
👉 夫婦の家を売るときにかかる費用と税金まとめ【50代・60代向け】
「家を売るって、いくらかかるの?」という疑問、不安を抱える方はとても多いです。特に譲渡所得税や確定申告など、ふだん接しない言葉が多いため、構えてしまうのも無理はありません。
以下のような費用が発生しますが、事前に把握しておけば不安も軽減できます。
主な費用項目(例):
- 仲介手数料
- 登記関連の費用(抵当権抹消など)
- 引越し費用
- 譲渡所得税(※要件を満たせば3,000万円控除も)
特にこの「3,000万円特別控除」は、長年住んでいた家を売却する方にとって非常に有利な制度。確定申告を正しく行えば、譲渡益があっても税金がかからないケースも多いです。
不安なままにせず、プロのサポートを得ながら安心して準備を進めましょう。正しい知識は、心の余裕につながります。
私たちのように、次の暮らしに踏み出す方へ
家を売るという決断は、大きな勇気がいることです。
でも、「売ること=終わり」ではなく、「新しい暮らしへのスタート」なのだと、今ならはっきり言えます。
迷っている方こそ、一度プロに相談してみてください。
私たち夫婦のように、“やってよかった”と思える日が、きっと来ます。
✅ 60代からの住み替えも安心して進められます。
👉【三井のリハウスで、住み替えの第一歩を踏み出す】
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