ゆうき
ゆうき

ペットと暮らした家を売却するときに一番気になるのはニオイです。価格や印象に影響するのか、対策は何か、目次を見て必要なところから読んでみてください。

ペットのニオイは不動産売却に影響するのか

家を売ろうと思ったとき、真っ先に気になるのが「ペットのニオイ」ではないでしょうか。長年一緒に暮らしてきたペットは家族同然ですが、買主にとってはどう映るのでしょう。ペットを飼っている方なら「内覧のときにニオイは気づかれる?」「売却価格に影響するのでは?」「そもそも告知する必要があるのか?」と不安になることも多いと思います。

実際のところ、不動産売却におけるペットのニオイは軽視できません。では、買主はどこを気にし、どんな影響があるのでしょうか。

買主が気にするポイント

買主が内覧に来たとき、第一印象を決めるのは「視覚」と「嗅覚」です。人間の嗅覚は意外と敏感で、普段暮らしている本人が気づかないニオイでも、来訪者にははっきりと分かることがあります。

特に買主が気にするポイントは以下の3つです。

  • リビングや玄関に漂うペット臭(犬や猫特有の体臭)
  • カーペットや壁紙に染みついた尿やマーキングのニオイ
  • ケージやトイレ周辺に残る生活臭

これらは「この家は掃除が行き届いていないのでは?」という印象に直結します。さらに、アレルギーや清潔志向の人にとっては心理的なマイナスとなり、購買意欲を大きく下げてしまうのです。

たとえば私の知人が内覧に行った際、ペット臭が強い物件に出会いました。間取りや立地は希望通りでしたが、帰宅後も服にニオイが残り、最終的に購入を見送ったそうです。ニオイは理屈ではなく「感覚」に訴えるため、一度不快に感じられると巻き返しが難しいのが現実です。

ニオイによる査定額への影響

では、ペットのニオイがあると査定額はどの程度下がるのでしょうか。実務的には「直接的に〇%減額」といった明確な基準はありません。ただし、ニオイが残ることで以下のような負の連鎖が起きます。

  1. 内覧者の印象が悪くなる
  2. 購入希望者が減る
  3. 買主が見つかりにくくなる
  4. 結果的に販売期間が長引き、値下げを余儀なくされる

実際、内装リフォーム費用を考慮して「壁紙や床を張り替える必要がある」と判断されると、その分を差し引いて購入希望額を提示されるケースがあります。リフォーム代が数十万円かかる場合、そのまま売却価格の減額要因となってしまうのです。

また、不動産会社の営業担当者からも「ペットのニオイが強いと内覧数が減る」と言われることがあります。つまり、ニオイは査定額そのものよりも「販売のしやすさ」に直結するのです。

もちろん中には「ペット可物件だから多少のニオイは気にしない」という買主もいます。しかし市場全体で見ると、ニオイが残っていない方が圧倒的に有利です。

ここで考えてほしいのは、「数万円のクリーニング費用を惜しんで数十万円の値下げを招くリスクを取るかどうか」という点です。売却前の対策をしておく方が、最終的に損をしない可能性が高いのです。


次のパートでは、具体的に売却前にできるペットのニオイ対策を解説していきます。あなたの家も「快適に住める物件」と感じてもらえるように、どの程度の準備が必要か、一緒に見ていきましょう。売却前にできるペットのニオイ対策

ペットのニオイは「慣れ」があるため、飼い主本人が気づきにくいのが厄介な点です。内覧に来る買主にとっては、最初の数秒で「この家は清潔そうかどうか」を判断する材料になります。だからこそ、売却前のニオイ対策は欠かせません。ここでは自分でできる基本的な対策と、必要に応じてプロに依頼する方法を整理しました。

徹底的な掃除と換気の基本

最初に取り組むべきは「掃除と換気」です。これを怠ると、どんな高価な消臭剤を使っても効果が半減してしまいます。

  • 床は拭き掃除だけでなく、カーペットは丸洗いまたはクリーニングへ
  • 壁紙やカーテンもニオイを吸着しやすいため、洗濯や交換を検討
  • 換気は最低でも1日30分以上、窓を複数開けて風を通す

特に犬や猫の毛は細かく繊維に絡みつきやすいため、掃除機の後に粘着クリーナーで仕上げると効果的です。実際、ある不動産会社の調査によると「掃除と換気を徹底した物件は内覧時の印象が格段に良くなる」と報告されています。

「たったこれだけで変わるの?」と思うかもしれませんが、ニオイは積み重ねで薄れていきます。売却活動を始める数週間前から継続的に行うのがポイントです。

消臭グッズとハウスクリーニングの使い分け

市販の消臭スプレーや炭、空気清浄機なども役立ちますが、あくまで「一時的な効果」にとどまることが多いです。特に床や壁に染み込んだ尿や体臭は、表面的な対策だけでは完全には取れません。

そこで検討したいのがハウスクリーニングや消臭専門業者です。

  • 部分的なニオイ → 市販の消臭剤や清浄機で対応
  • 広範囲に染みついたニオイ → プロのハウスクリーニングやオゾン脱臭

例えば、オゾン脱臭機を使った施工では、1Kの部屋で3〜5万円、戸建てなら10万円以上かかるケースもあります。ただ、その後の値下げを防げるなら費用対効果は十分にあるといえるでしょう。

「自分でやれる範囲」と「プロに任せた方が早い範囲」を見極めて組み合わせることが、効率的な対策につながります。

ペットの生活用品を処分・整理する

意外と見落とされやすいのが、ペットの生活用品から発生するニオイです。トイレ用の砂やシート、古いおもちゃやベッドなどは、どれだけ掃除しても独特のニオイを放ちます。

売却前に内覧を控えているなら、次の工夫をおすすめします。

  • 古いベッドやマットは思い切って処分する
  • ペットトイレは新品に替えるか、一時的に撤去する
  • 餌やおやつの保管場所は密閉容器に移す

内覧時には、ペットが使っている物を極力表に出さないことが大切です。見た目にもスッキリし、買主に「この家で新しい生活が始められる」とイメージしてもらいやすくなります。

実際に、ある売主さんは「犬用ベッドやおもちゃを片付けただけで、部屋が広く感じられ、買主の反応が良くなった」と話していました。小さな工夫ですが、印象を左右する大きな要素なのです。


ここまでで、自分でできる基本的な対策と業者を活用するポイントを整理しました。では、もし自分では対応しきれないニオイが残っている場合、どんな専門業者に依頼すべきなのか? 次のパートで詳しく見ていきましょう。専門業者に依頼する場合の選択肢

自分で掃除や消臭をしても、どうしても取り切れないニオイがあります。特に長年ペットと暮らしてきた家では、壁紙や床材の奥にまで染み込んでいるケースが多いものです。その場合は、専門業者に依頼するのが現実的な解決策となります。では、依頼先はどう選べばよいのでしょうか。

ハウスクリーニングと消臭専門業者の違い

「ハウスクリーニング」と「消臭専門業者」は似ているようで役割が異なります。

  • ハウスクリーニング業者
    主に汚れやホコリ、油汚れなどの「見える汚れ」を落とすことに特化しています。床やキッチン、浴室などを徹底的に清掃してもらえますが、ニオイそのものを根本から除去するのは得意分野ではありません。
  • 消臭専門業者
    ペット臭やタバコ臭、カビ臭などの「生活臭」を取り除くことに特化しています。オゾン脱臭機や特殊洗浄剤を使い、壁や床材の奥に入り込んだニオイまで分解するのが特徴です。

つまり、ハウスクリーニングは「見た目をきれいにする」、消臭専門業者は「空気をきれいにする」とイメージすると分かりやすいと思います。実際の現場では、この二つを併用することで最も効果的な結果を得られるケースが多いです。

費用相場と効果の目安

専門業者に依頼する場合、気になるのは費用対効果です。一般的な相場を整理すると以下のようになります。

  • ハウスクリーニング
    • 1K〜1DK:約2〜5万円
    • 3LDK以上:約8〜15万円
      → 掃除後の清潔感は大きく改善されるが、ニオイが強い場合は残ることもある。
  • 消臭専門業者(オゾン脱臭など)
    • 1部屋:約3〜5万円
    • 一戸建て全体:約10〜20万円
      → ペット臭が強くても、施工後は「ほぼ気にならないレベル」にまで改善する例が多い。

実際に不動産会社の現場でも「10万円前後の消臭施工で、買主からの印象が劇的に良くなった」という声があります。逆に、何もせずに数十万円の値下げ交渉を受け入れるくらいなら、先に投資した方が結果的にプラスになる可能性が高いのです。

もちろん「絶対にニオイがゼロになる」とは言えませんが、少なくとも買主が気にせず生活をイメージできる程度には改善されます。売却のスピードや価格に直結する要素だからこそ、検討する価値は十分にあるといえるでしょう。


次のパートでは、内覧前に注意すべき具体的な工夫についてお伝えします。買主が訪れる「その瞬間」にどう備えるかで、印象はさらに変わってきます。内覧前に注意すべき具体的な工夫

売却前に掃除やクリーニングを終えても、内覧当日の準備を怠ると台無しになってしまいます。特にペットのニオイは「その瞬間の空気」で判断されやすいため、直前の工夫がとても大切です。ここでは、内覧直前にできる対策と、ペットの存在をどう扱うかについて整理しました。

内覧直前にできるニオイ対策

内覧の数時間前からできる工夫で、買主の第一印象をぐっと良くできます。

  • 徹底的に換気する
    内覧前は最低30分以上、複数の窓を開けて空気を入れ替えましょう。外気の匂いがこもった空気を押し出すことで、室内の清涼感が増します。
  • 消臭剤やアロマは控えめに
    強い香りでごまかすのは逆効果です。人によって好みが分かれるため「何か隠しているのでは?」と思われてしまうことも。無臭タイプの消臭スプレーを軽く使う程度にとどめましょう。
  • カーテン・ソファをリフレッシュ
    布製品はニオイを吸いやすいので、洗濯後やリセッシュなどでケアしておくと効果的です。
  • ペットトイレは必ず処分
    内覧の直前にはトイレ砂やシートを新しいものに取り替え、できれば見えない場所に片付けるのが理想です。

「この家、空気が澄んでいて気持ちいいですね」と思ってもらえれば、それだけで好印象につながります。

ペットの一時避難と生活痕の隠し方

もうひとつ大事なのは、ペットそのものをどうするかです。内覧時にペットがいると、かわいいと感じる人もいれば、アレルギーや苦手意識を持つ人もいます。売却の場ではリスクを減らすため、一時的に避難させるのが無難です。

  • 親族や知人に預ける
    数時間だけでも外に出すと、落ち着いて内覧対応ができます。
  • ペットホテルや一時預かりサービスを活用
    内覧が重なる時期には便利です。

さらに、生活痕を隠す工夫も有効です。

  • ケージやベッドは片付ける、もしくは清潔な状態で端にまとめる
  • 餌皿やおもちゃは見えない場所に収納
  • 引っかき傷が目立つ場合は簡易補修シートを利用

「ペットと住んでいた」という事実を完全に隠す必要はありませんが、「清潔に使われていた家」という印象に変えることが重要です。

実際に、不動産営業担当者の体験談でも「内覧時にペットの姿が見えないだけで買主の反応が全く違った」というケースがあります。買主に余計な不安を与えないことが、結果的にスムーズな契約につながるのです。


次のパートでは、よくある疑問と注意点について解説します。「ペット歴は告知しないといけないの?」「完全に消臭できない場合はどうする?」といった気になる点を整理していきましょう。よくある疑問と注意点

ペットのニオイ対策をしても、売却にあたってはいくつかの疑問や不安が残るものです。「ペットと暮らしていたことは告知が必要?」「ニオイ以外にチェックされるところは?」「完全に消えない場合はどうする?」など、売主がよく抱える疑問を整理して解説します。

「ペット歴」は告知義務があるのか

結論から言えば、ペットを飼っていた事実そのものは告知義務にはあたりません。告知義務が生じるのは「物件の価値に重大な影響を与える事実」(=瑕疵)がある場合です。

たとえば、床下に尿がしみ込んで建材が腐食している、壁に大きな爪痕が残っているなど、通常の使用を超えて建物の劣化を招いている場合は告知の対象となる可能性があります。

逆に、単に「犬や猫を飼っていた」という情報だけでは、契約上の瑕疵とは見なされません。ただし、不動産会社や買主から質問された場合は、誠実に答えることをおすすめします。後から「隠していた」と思われると、信頼関係を損ないかねません。

ニオイ以外に買主が気にするポイント

ニオイは第一印象を左右しますが、それだけではありません。買主はペットの痕跡として次のような点をよく確認しています。

  • 床や柱の傷:爪でひっかいた跡が残っていないか
  • 壁紙の汚れや染み:尿やよだれがついた跡がないか
  • 庭やベランダの状態:糞尿や掘り返した跡がないか
  • 音の痕跡:防音性が低い場合、吠え声などの近隣トラブルが懸念される

実際に「床の傷が深刻でリフォーム必須」と判断され、100万円以上の値下げを交渉された例もあります。つまり、ニオイだけでなく「見える形のダメージ」も売却価格に直結するのです。

消臭しても完全に取れない場合の対応策

残念ながら、どんなに消臭しても完全にゼロにできないケースはあります。特に築年数が古い物件や、長期間ペットを飼っていた住まいは、素材そのものにニオイが染み込んでいることがあります。

その場合の対応策は大きく3つです。

  1. リフォームを先に行う
    壁紙や床材を張り替えることで、ニオイと傷を同時に解消できます。費用はかかりますが、印象は大幅に改善します。
  2. 現状渡しを明示する
    「ペット飼育歴あり、消臭済みだが完全ではない」と正直に伝えたうえで販売します。その分価格調整を行えば、納得して購入してもらいやすくなります。
  3. ターゲットを絞る
    ペット可物件を探している買主に絞って販売する方法です。同じようにペットと暮らす予定の人なら、多少の痕跡は気にしない場合があります。

「無理に完璧を目指すより、買主に納得してもらえる形を作ること」が大切です。誠実に情報を開示すれば、後々のトラブルも防げます。


次のパートでは、まとめとチェックリストとして「最低限やっておくべき対策」「業者依頼を検討すべきケース」を整理します。売却前に確認しておきたいポイントを振り返っていきましょう。まとめとチェックリスト

ここまで、ペットのニオイが不動産売却に与える影響と、その対策を具体的に見てきました。結局のところ重要なのは「買主が新生活をイメージできる状態にすること」です。完璧に消すことができなくても、誠実に工夫を重ねることで印象は大きく変わります。最後に、最低限やっておくべきことと、業者依頼を検討すべきケースを整理します。

最低限やっておくべきニオイ対策

  • 掃除と換気を習慣化する(内覧前は特に30分以上)
  • カーペット・カーテン・布製品は洗濯か交換を検討
  • ペットトイレや餌皿は清潔にし、可能なら見えない場所に片付ける
  • 内覧直前は強い芳香剤を避け、無臭タイプの消臭剤を軽く使う
  • ペットは一時的に外へ避難させる

これらを押さえておくだけでも、買主の印象は大きく改善します。

業者依頼を検討すべきケース

  • 壁や床に尿が染み込み、掃除ではニオイが取れない
  • 長年の飼育で家全体に生活臭がこびりついている
  • 内覧時に「まだ少し気になる」と複数の買主から指摘を受けた
  • 値下げ交渉で「リフォーム代を見込む」と言われてしまった

このような場合は、ハウスクリーニングや消臭専門業者に依頼するのが現実的です。費用は数万円から十数万円かかりますが、販売期間の短縮や値下げ回避につながるなら十分に元が取れる可能性があります。


ペットと暮らした家を売るとき、ニオイは避けて通れないテーマです。ただし、「徹底的に掃除する」「生活痕を整理する」「必要に応じてプロに頼る」という3つを押さえれば、不動産売却は格段にスムーズになります。

売却前に今日からできることを一つずつ実践してみてください。それが、納得のいく価格とスピードで家を売るための第一歩になります。