
不動産売却で悩みがちな「大手と地元業者、どっちがいいの?」という疑問。両者の違いやメリット・デメリットを、ケース別にわかりやすく比較しました。目次を見て必要なところから読んでみてください。
大手不動産会社と地元業者、どっちを選ぶべき?【最初に押さえたい基本】
「不動産を売却しよう」と思ったとき、まず最初にぶつかる壁が「どの不動産会社に依頼すべきか?」という問題ではないでしょうか?
全国規模の大手不動産会社。
地域密着の地元業者。
どちらもそれぞれの強みがあるからこそ、迷ってしまうんですよね。
「知名度のある大手がやっぱり安心?」
「でも地元の業者のほうが小回りが利きそう…」
「結局、自分にはどっちが合ってるの?」
今回は、そんな不動産売却時の「仲介業者選び」に悩む方へ向けて、大手と地元業者の違いを丁寧に比較しながら、納得して選べる判断軸をお届けします。
結論から言えば、どちらが正解という話ではありません。
ただ、自分の物件の特徴や売却の目的によって“合う業者”は確実に違うのです。
この記事では、不動産売却の現場で実際に起きている「成功・失敗の分かれ道」に触れながら、あなたが損をしないための基礎知識をしっかりお伝えしていきます。
不動産売却における「仲介業者選び」が超重要な理由
不動産売却で後悔する人の多くは、「業者選び」に失敗しています。
実際、売却価格に数百万円の差が出るケースも珍しくありません。
なぜそこまで差がつくのでしょうか?
理由はシンプルで、仲介業者の「販売力」と「戦略」によって、売れるタイミングも価格も大きく変わってくるからです。
例えば、同じ3,000万円の中古マンションを売るにしても、
- A社では3ヶ月以内に希望価格で売却できた
- B社では6ヶ月経っても内覧すらほとんど来なかった
という事例も実際にあります。
もちろん、物件自体の状態や立地にもよります。
しかしそれ以上に大きな要因が、「どの不動産会社に任せたか」なのです。
とはいえ、「大手=すごい」「地元=微妙」とは限りませんよね。
むしろ、ケースによっては真逆の結果になることすらあります。
では、なぜそんな差が生まれるのでしょう?
そして、どちらを選べば納得のいく売却ができるのでしょうか?
大手 vs 地元業者の違いを一言でまとめると?
一言でいえば、違いは「規模」と「柔軟性」に集約されます。
比較項目 | 大手不動産会社 | 地元業者 |
---|---|---|
集客力 | ◎ 全国的な広告・ネットワーク | ○ 地域に特化した集客に強い |
信頼性 | ◎ ブランド力と知名度 | △ 担当者によって差がある |
柔軟性 | △ 仕組み化されていて動きが遅いことも | ◎ 柔軟でスピーディーな対応 |
サポート体制 | ◎ 法務・税務の専門部署あり | △ 小規模なため限られることも |
売却戦略の自由度 | △ 定型的になりやすい | ◎ 物件に合わせた対応が可能 |
手数料の交渉余地 | △ 固定が多い | ○ 相談次第で調整可能なことも |
どうでしょうか?
「大手は安心感があるけど、やや事務的」
「地元業者は担当者の熱意がダイレクトに伝わる」
という感覚を持っていた方も多いのではないでしょうか。
実際のところ、大手にも地元にも“強みと弱み”がそれぞれあります。
たとえば、大手では全国に張り巡らされたネットワークを活用して、より広く買い手を探すことができます。
一方で、地元業者は「あのエリアの戸建ならこの客層が反応する」といった地域特有の“肌感覚”を持っていることが多く、特に地元密着型の不動産に強みを発揮します。
つまり、選び方を間違えなければ、どちらを選んでも成功できる可能性はあるということです。
ただし──
逆に言えば、「合わない業者」を選んでしまうと、
・半年経っても売れない
・安く買い叩かれた
・担当者が頼りにならない
といった後悔をすることにもなりかねません。
あなたの物件に合うのは、どちらのタイプでしょうか?
それを判断するためにも、次章以降では「大手の特徴」「地元業者の強み」「両者の比較ポイント」を深掘りしていきます。
どうぞ引き続き読み進めてみてください。
きっと「自分に合った選び方」が見えてくるはずです。
大手不動産会社の特徴とメリット・デメリット【安心感が魅力】
大手不動産会社というと、「なんとなく安心そう」「名前を知ってるから信頼できそう」というイメージ、ありませんか?
実際、そのイメージはあながち間違っていません。ただし、それだけで判断してしまうと後悔することもあるんです。
ここでは、大手不動産会社に依頼するメリットとデメリットを整理したうえで、どういう売却ケースに向いているかを明らかにしていきます。
大手不動産会社を利用する主なメリット3つ
✅ 1. 圧倒的な集客力と広告ネットワーク
大手の一番の強みは、何といっても「見つけてもらえる力」です。
全国規模で展開しているため、自社サイト・不動産ポータル・チラシ・新聞広告・SNSなど多様な媒体での広告が可能。さらに、登録顧客数も数万~数十万人と圧倒的。
実際、「大手の紹介で買った」という買主も多く、市場での可視性が高い点は大きな魅力です。
✅ 2. 売却までのスキームがしっかり整っている
売却の流れ、書類対応、税務のアドバイスなど、プロセス全体が体系化されており、特に売却が初めての方には心強い味方となってくれます。
また、グループ内に司法書士や税理士と連携するチームがいるケースもあり、「何から手を付けていいかわからない…」という方でも安心して進められる環境が整っています。
✅ 3. 信用・安心感があるため買主もつきやすい
買う側から見ても「有名な会社が仲介している」という事実は安心材料になります。
特に、ローン審査を受ける場合には、大手の名前があることでスムーズに審査が進むことも。
つまり、大手に依頼することで、買主側からの信頼も得やすくなるという点は見逃せません。
知っておきたい大手のデメリット・注意点
一方で、「大手だから安心」と盲目的に信じてしまうのは危険です。以下のような注意点も必ず押さえておきましょう。
✅ 担当者の質にバラつきがある
意外と多いのが、「大手なのに対応が雑だった」「こちらの話を聞いてくれなかった」という不満です。
大手は社員数も多いため、新人や経験不足の担当者に当たることもあります。
社名で選ぶのではなく、「誰が担当するか」を重視する意識が大切です。
✅ 売主側よりも買主側を優先されることがある
大手の営業担当者は、売主・買主の両方を抱えていることも少なくありません。
そのため、売却価格よりも「早く売ること」を優先されてしまうこともあります。
実際、相場よりやや低めの価格を強く勧められるケースもあり、「高く売りたい」という希望が通らないことも。
✅ 柔軟な交渉や提案が少ないこともある
社内ルールや契約内容が定型化されている分、「ここはもっとこうしたい」といった柔軟な提案には応じてもらいづらいケースも。
たとえば、「販売時の写真をプロに依頼したい」「オープンハウスを自分で企画したい」といった相談がスムーズに通らないこともあります。
大手に向いている売却パターンとは?
大手不動産会社に依頼したほうが成功しやすい売却ケースには、いくつかの傾向があります。
✅ 都市部や人気エリアの物件を所有している方
→ 多くの買い手がいるため、大手の広告力を最大限に活かせます。
✅ 不動産売却が初めてで、全体の流れが不安な方
→ サポート体制が整っており、初めてでも安心して進められます。
✅ 離婚や相続など、法的手続きが絡む売却
→ 税理士・司法書士との連携があるため、スムーズに進めやすいです。
✅ 住みながら売却したい方
→ 物件の魅力をしっかり引き出す広告戦略があるため、高く早く売れる可能性が高いです。
一方で、「少しクセのある物件」や「地域密着で独自の販路が必要な場合」は、次章で解説する「地元業者」のほうが適していることもあります。
次に、「地元密着型の不動産会社」の特徴と、どんな物件や人に合っているのかを見ていきましょう。
ここまで読んでいただいた方なら、「自分にはどちらが合いそうか」の判断軸が見えてきているのではないでしょうか?
地元密着型業者の特徴とメリット・デメリット【柔軟な対応力が強み】
「大手だとちょっと話しづらい」「なんだか機械的な感じがして…」
そんなふうに感じたことはありませんか?
不動産売却は、人生でもそう何度も経験することではありません。
だからこそ、「人として信頼できる担当者に任せたい」と思うのは当然の感情です。
実は、そういう“人の温度”を大切にしたい方にとって、地元密着型の不動産業者は非常に頼りになる存在になり得ます。
ここでは、そんな地元業者ならではの魅力と、注意すべきポイントをお伝えしながら、どんな不動産に向いているのかまで解説していきます。
地元業者に依頼するメリットと「地の利」
✅ 地域特性に精通しているからこその提案力
たとえば「この学区だからファミリー層が多い」「この通りは夕方に車通りが増える」といった、ネットには載っていない“地域のリアル”を知っているのが地元業者です。
その情報をもとに、
- 販売戦略をエリアごとに最適化
- 地元特有の需要を的確に捉えた広告文
- 適切なタイミングでの価格設定
といった、物件の魅力を最大化する工夫ができるのが大きな強みです。
✅ 小回りが利くからスピード感がある
「この日だけ内覧できるんですが…」
「少し価格を変えたいんですが…」
こうした要望にも、地元業者なら柔軟かつ迅速に対応してくれることが多いです。
組織としての階層が少ないぶん、担当者の判断で即動ける体制が整っている場合が多く、売主にとってのストレスが少ないのも魅力です。
✅ 地域の買主とのつながりが強いことも
特定のエリアで長年営業している業者であれば、地元に住みたい買主候補を多数抱えていることもあります。
「まだポータルに出していないけど、こんな物件を探している人がいる」
そんな“水面下のマッチング”ができるのは、地元業者ならではの技です。
地元業者のデメリット・リスクとは?
もちろん、地元業者にもデメリットはあります。
むしろ、注意しないと「後悔」につながりやすい点もあります。
✅ 集客の規模は限定的なことが多い
全国展開の大手と比べると、広告範囲やネットワークはどうしても狭くなる傾向があります。
特に「遠方に住む買主」をターゲットにしたい場合は、物件情報が届きにくい可能性も。
✅ 担当者の力量に依存しやすい
地元業者は規模が小さいぶん、担当者一人ひとりの能力や人柄が売却結果を左右します。
良い担当者に当たれば大成功、でも…そうでなければ対応の質にばらつきが出ることも。
事前に口コミや実績をしっかり調べること、1社だけに絞る前に比較することはとても大切です。
✅ 業務範囲が狭いこともある
税務、法務、登記などの周辺サービスが外部委託になることが多いため、ワンストップで進められないケースも。
自分で複数の窓口とやり取りする必要が出てくると、少し面倒に感じるかもしれません。
地元業者が向いている不動産のタイプ
では、どんな不動産を売却する場合に地元密着型の業者が向いているのでしょうか?
以下のようなケースでは、大手よりも地元業者の方が適していることが多いです。
✅ 地方や郊外にある戸建・土地
都市部と違い、地方では地域住民がメインの買主層となることが多いです。
地元業者はそのエリアの流通事情や買主傾向に詳しく、適切な戦略を立てやすいです。
✅ 築年数が古い住宅や空き家物件
古い物件は、広告文や写真だけでは魅力が伝わりにくいもの。
そうした物件を“どう見せるか”のノウハウを持っているのが地元業者です。
✅ 家族経営のような密なサポートを求める方
「同じ人が最初から最後まで担当してくれる」「いつでも相談できる」
そんな関係性を望む方にとって、地元業者は安心できるパートナーになります。
✅ 短期間で現地対応を繰り返す必要がある方
鍵の受け渡し、現地立ち会い、内覧の都度の掃除など、柔軟で頻繁な対応が求められる場合には地元業者が頼もしいです。
ここまでを踏まえると、「大手=正解」「地元=不安」といった単純な見方はできませんよね。
むしろ、物件や売主の状況によって、最適な業者は変わるのです。
次章では、両者の違いをわかりやすく比較した一覧表と、「失敗しない業者選び」の判断ポイントをご紹介します。
「どっちを選べばいいかわからない…」という方は、ぜひ参考にしてください。
【一覧比較表】大手と地元業者のメリット・デメリットまとめ
不動産売却の成功は、「どの不動産会社に任せるか」で大きく左右されます。
とはいえ、これまでの章で見てきたように、大手にも地元業者にもそれぞれの強みと弱みがありますよね。
「ここまで読んできたけど、結局どっちが自分に合うの?」
そう感じている方のために、大手と地元業者の違いを一目で把握できる一覧表をご用意しました。
✅ 比較のポイントを押さえて、自分に合った選択を見つけてください。
比較項目 | 大手不動産会社の特徴 | 地元密着型業者の特徴 |
---|---|---|
集客力 | ◎ 全国ネット・広告力が強い | △ 限定的だが地元顧客に強みあり |
信頼性・安心感 | ◎ ブランド力・知名度が高く安心感がある | △ 担当者次第で信頼性に差が出やすい |
サポート体制 | ◎ 売却フローが整備され、士業連携もある | △ 一部手続きは売主が対応することも |
担当者の対応 | △ 担当により対応のバラつきが大きい | ◎ 柔軟で親身な対応が期待できる |
売却スピード | ○ 集客力があるため買主が見つかりやすい | ○ 地元のつながりで早期成約も可能 |
価格交渉の柔軟性 | △ 社内規定があり交渉余地が小さい | ◎ 担当者の裁量で柔軟な対応が可能 |
販売戦略の柔軟性 | △ 画一的になりやすい | ◎ 物件に応じた細かな戦略を組みやすい |
契約後のサポート | ◎ 報告・連絡体制が整っている | △ 業者により対応の差が出やすい |
こんな方におすすめ | ・初めての売却で不安が多い方 ・都市部の物件を売る方 | ・郊外・地方の物件を持つ方 ・柔軟な対応を求める方 |
どちらか一方が「常に優れている」わけではありません。
重要なのは、「自分の状況に合った業者を見極めること」。
次章では、具体的にどんなポイントに注目して業者を選べばいいのか、「失敗しない判断軸」を5つご紹介します。
「なんとなく」で決めるのはもったいないですよ。納得のいく選択をしましょう。
大手と地元業者を正しく選ぶポイント5選【失敗しない判断軸】
「大手か地元か」以上に大切なのは、“その会社の中の誰が担当するか”です。
同じ会社でも、担当者の知識・熱意・相性によって、売却の結果がまるで変わってくる。これは多くの体験談から明らかになっている事実です。
ここでは、後悔しない不動産会社選びのために、5つの重要なチェックポイントを紹介します。
「どの会社にするか」ではなく、「どの視点で選ぶか」。ここを押さえておくことが、成功の第一歩になります。
信頼できる担当者を見極めるチェックリスト
「この人、ほんとに信頼して任せて大丈夫?」
そう感じたら、以下のチェックリストを使ってみてください。
✅ 専門用語をわかりやすく説明してくれる
✅ こちらの話を遮らず、しっかり聞いてくれる
✅ 良いことばかりでなく、デメリットも説明してくれる
✅ 他社との違いを明確に説明できる
✅ 即答できないことは「確認してから折り返します」と正直に言う
この5つのうち、3つ以上に当てはまれば、信頼に値する担当者の可能性が高いです。
逆に、こちらの質問をはぐらかしたり、すぐに契約を迫ってくるような担当者は要注意。
不動産売却は数百万円〜数千万円が動く取引です。「人」で選ぶ意識を忘れずに。
査定額よりも「売却力」を見るべき理由
不動産会社を比較するとき、「査定額」に目がいきがちですが…
実は“高い査定額”が必ずしも良いとは限りません。
なぜなら、
・媒介契約を取りたいがために、相場より高めに出す
・売れなければ徐々に値下げする前提で提示してくる
というケースがあるからです。
一見高く見える査定額でも、売れ残れば値引きせざるを得ず、最終的には損をする可能性があります。
だからこそ注目すべきは「売却力」。
具体的には、
- 類似物件の販売事例を提示してくれるか
- 売り出しから販売までの平均期間は?
- どんな広告戦略を立ててくれるか
こうした具体的な“売るための戦略”を語れる会社こそ、真の実力を持った仲介業者と言えるでしょう。
レスポンスの速さ・提案力を比較する方法
信頼できる業者かどうかは、「問い合わせへの対応スピード」でも分かります。
たとえばこんな違い。
- 質問にすぐに答えてくれる → ✅ 信頼感あり
- 回答が2〜3日経っても来ない → ❌ 不安要素大
- 質問への返答+αの提案がある → ✅ 対応力・提案力がある
- 定型文のような返信だけ → ❌ マニュアル対応の可能性
反応が早い担当者は、売却活動もスピーディー。
逆にレスポンスが遅いと、内覧者への対応や交渉も後手に回る恐れがあります。
また、こちらの話を受けて「こういう方法もありますよ」と具体的な提案をしてくれるかどうかも重要な比較ポイントです。
自社で囲い込みをしていないかチェック
「囲い込み」とは、他社からの買主をブロックして、自社だけで取引を成立させようとする行為のこと。
一見すると問題なさそうに見えますが、実はこれ、売主にとっては機会損失の原因になります。
なぜなら、買主が他社経由で現れたとしても紹介を断ってしまい、結果的に「売却のチャンスを逃す」ことになるからです。
囲い込みをしていないかを見極めるには、
- 一般媒介契約を提案してくるか?
- 他社からの問い合わせにも快く対応するか?
- レインズ(不動産流通機構)への登録報告をしてくれるか?
といった点を確認しましょう。
本当に売主の利益を考えている業者なら、囲い込みをしない方針で動いてくれます。
契約後の販売活動報告の頻度にも注目
実際に媒介契約を結んだ後、どれだけ「見える形」で報告してくれるかも重要です。
✅ 週1回の活動報告があるか
✅ レインズの閲覧状況を教えてくれるか
✅ 問い合わせ件数や内覧数を共有してくれるか
✅ 次の提案が「いつまでに」来るのか明確か
これらの報告が曖昧だったり、「そのうちご連絡します」では、売却活動がブラックボックス化してしまいます。
活動状況が見えることで、「本当に動いてくれているのか?」という不安が解消されるだけでなく、必要に応じた価格調整や広告戦略の見直しもスムーズに行えるのです。
大手でも地元でも、「信頼できる」「動いてくれる」「成果が見える」ことが、売却成功のカギです。
次章では、両者の“いいとこ取り”をする方法もご紹介します。
「どっちかに決めきれない…」という方は、ぜひ参考にしてみてください。
両者の“いいとこ取り”をするには?【併用や比較のテクニック】
ここまで読んで、「大手にも地元にもそれぞれ魅力がある。でも、どっちか一社に絞るのは不安…」という方、いませんか?
実は、不動産売却においては「両者のいいとこ取り」をする方法もあるんです。
必ずしも“どちらか一方”に決める必要はありません。
この章では、比較・併用という選択肢をうまく活用して、より納得感のある売却を目指す方法を解説します。
一括査定サイトで複数社比較するメリット
「いきなり営業電話がかかってくるのはちょっと…」という方でも、匿名で始められる一括査定サイトはかなり便利です。
✅ 最大6社以上の査定額がまとめて見られる
✅ 大手も地元も一緒に比較できる
✅ 担当者の対応もチェックしやすい
✅ 売却相場の目安がすぐにわかる
特に大手と地元業者の「対応の違い」を見るには、初動のメール内容や査定報告の丁寧さを見るだけでも十分判断材料になります。
ただし、査定額の高さだけで選ぶのはNG。
前章でお伝えしたように、査定額よりも「売却戦略」や「担当者の信頼性」に注目することが大切です。
一般媒介契約で併用する際の注意点
「両方に頼んでみて、結果を比べながら進めたい」
そんな方には、一般媒介契約が向いています。
これは、複数の不動産会社と同時に契約できる方式で、売主にとって自由度が高いのが特徴です。
✅ 大手と地元業者を同時に試せる
✅ より早く、より高く売ってくれる会社を見極めやすい
✅ 各社が競い合って動いてくれる可能性もある
ただし注意点も。
❌ どこが何をやっているのか分かりづらくなる
❌ 販売活動の重複が起きやすい(同じ写真・説明文がネットに並ぶ)
❌ 一部の業者は「一般媒介だと本気を出さない」場合も
そのため、事前に「一般媒介でも積極的に対応してくれるか」確認することが重要です。
専任媒介契約でも「地元密着型+大手の連携」が可能?
「一社に絞る代わりに、しっかりサポートしてもらいたい」
そんな方に選ばれるのが、専任媒介契約や専属専任媒介契約です。
「え、大手か地元どっちかにしか頼めないってこと?」
…実はそんなこともないんです。
近年では、大手が地域の地元業者と業務提携しているケースも増えています。
たとえば、
- 大手が窓口・広告戦略を担い、
- 地元業者が現地対応・内覧調整を担当する
という「役割分担型」の連携スタイルです。
✅ 一社との契約で、大手と地元の“いいとこ取り”ができる
✅ 窓口が一つなので管理しやすく、売主の負担が少ない
✅ 双方の得意分野を活かした販売活動が可能になる
ただし、すべての不動産会社がそうした連携をしているわけではないため、「提携している地元業者はありますか?」と聞いてみることがカギです。
結論として、「大手と地元、どちらかに決めないといけない」という発想にとらわれる必要はありません。
比較する、併用する、連携させる――
柔軟に考えることで、あなたにとって最適な売却方法が見つかるはずです。
次章では、「目的別におすすめの業者タイプ」をケーススタディで紹介していきます。
迷っている方は、自分に近いケースがどれかを照らし合わせてみてください。結局どっちが正解?ケース別おすすめ業者タイプ診断
「大手と地元業者、どっちがいいのか結局分からない…」
ここまで読んできても、まだ迷っている方も多いのではないでしょうか?
その迷い、実はとても自然なことです。
なぜなら、不動産売却は人それぞれ、目的も状況も違うから。
そこでこの章では、目的や状況別に「どちらの業者が向いているか」をケーススタディ形式で診断できるようにまとめました。
あなたの売却理由や条件に合わせて、ぴったりの選択肢が見つかるはずです。
高値売却を目指すなら大手?それとも地元?
✅ 売却価格をとにかく重視したい
そんな方にとって一番重要なのは、「どれだけ多くの買主候補に見てもらえるか」です。
この点で強いのは、やはり大手不動産会社。
- 自社サイト+不動産ポータルで全国的に広く露出
- 購入希望者のデータベースが豊富
- 高級住宅や都心物件に強い販路を持つ企業も
特に都市部や人気エリアで「相場以上の価格で売りたい」という場合、大手の広告力と信頼性は大きな武器になります。
一方で、地元業者でも高値売却ができるケースもあります。
それは、以下のような場合。
- 地域に強い購入希望者のネットワークを持っている
- 売却物件に詳しく、魅力を最大限に引き出す戦略がある
- 周辺物件の情報に精通しており価格設定が的確
つまり、「価格勝負=必ずしも大手一択」ではないということ。
より高く売れる可能性があるかどうかは、業者の実力+戦略提案力で決まります。
スピード重視ならどっちが向いている?
「早く売らないといけない」
「住み替えのタイミングが迫っている」
そんなスピード重視派には、状況に応じて選び方が変わります。
✅ 都市部で流動性が高いエリアなら大手
→ 広告の露出力で早期成約が狙えます。
✅ 地域密着型の人脈を活かした即紹介を期待するなら地元業者
→ 水面下で買主をすでに抱えている可能性もあります。
また、柔軟で即対応できるのは地元業者の得意分野です。
- 平日でも即日内覧の調整が可能
- 査定や相談のレスポンスも早い
- オーナー都合に合わせた売却プランを提案できる
つまり、「どこに売るか」より「誰がどんな動きをしてくれるか」で選ぶのが正解です。
相続・住み替え・空き家…目的別のベスト選択
不動産売却の目的別に、「どちらの業者が向いているか」をまとめました。
売却の目的 | 向いている業者 | 理由 |
---|---|---|
相続での売却 | 大手 or 地元(専門性重視) | 税務・法務の対応が求められるため、士業と連携できる業者を選ぶのがベスト。どちらにも対応できる会社は存在します。 |
住み替え | 大手 | 売却と購入の両方をスムーズに連携できる体制が整っている。ローン相談や仮住まい手配もワンストップ対応が可能。 |
空き家の売却 | 地元業者 | 近隣状況を把握しており、買い手を地域で探しやすい。空き家バンクや自治体施策との連携も柔軟に対応できる。 |
収益物件の売却 | 大手 | 投資家向けルートや広域マーケティングに強く、専門の部署があることも。数字で比較しやすく売却が進む。 |
地元の実家売却 | 地元業者 | 感情的なつながりが強い物件こそ、細やかに対応してくれる地元の担当者が向いています。 |
どんな業者にも、「向いているケース」と「そうでないケース」があります。
重要なのは、売却の目的と状況に合わせて選ぶこと。
もし迷っているなら、まずは両方に話を聞いてみるのもアリです。
一括査定サイトや比較サービスを活用すれば、手間なく複数の会社をチェックできますよ。
売却はスタートが肝心です。
焦らず、でも確実に、自分に合った選択をしていきましょう。
大手と地元業者の選び方に関するよくある質問Q&A
不動産売却を検討している方の多くが、「結局どっちに頼めばいいの?」という悩みを抱えています。
ですが、その裏にはもっと細かい不安や疑問が潜んでいるもの。
ここでは、実際に多く寄せられる質問の中から、「大手と地元業者の選び方」に関する3つの代表的な疑問を取り上げてお答えしていきます。
地元業者でも高値売却は可能?
はい、条件次第では十分可能です。
一般的に「高値売却=大手の専売特許」と思われがちですが、実はそんなことはありません。
地元業者でも以下のような条件が揃えば、大手と同等、もしくはそれ以上の価格で売れるケースもあります。
✅ エリアの需給バランスに詳しく、絶妙な価格設定ができる
✅ 買主候補との人脈・つながりが強い
✅ 内覧時の案内や物件の魅せ方が丁寧で説得力がある
特に地方やニッチなエリアの物件では、むしろ地元業者の方が市場を熟知しているぶん、有利に売却が進むことも。
ただし、売主としても業者任せにせず、
- 価格交渉の余地
- 類似事例の確認
- 販売戦略の提案力
などをしっかり確認することが大切です。
大手の査定額は本当に正確?
正確とは限りません。
大手不動産会社は、
✅ 蓄積された膨大なデータ
✅ 自社の成約実績
✅ 不動産AIによる自動査定
など、独自の査定ロジックを持っています。
そのため、市場価格に対して妥当性のある金額を提示してくる傾向が強いのは事実です。
しかし…
注意したいのは、査定額が「売れる価格」ではないという点。
査定額が高すぎる場合、
- 売れ残る
- 値下げが続く
- 結果的に損をする
というリスクもあります。
つまり、大手であっても査定額はあくまで“参考値”。
「実際にいくらで売れるか」を見極めるには、販売実績や戦略の中身まで聞くことが必要です。
地元に強い大手って存在するの?
はい、存在します。
むしろ近年では、大手不動産会社が“地域密着型の戦略”を取り入れてきている傾向が強まっています。
✅ エリアごとに専属のチームや支店を配置
✅ 地元のイベントや情報誌と連携
✅ 地元業者との業務提携や販売ネットワーク構築
たとえば、「大手の安心感」と「地元の柔軟性」を両立したい方にとって、“地元に強い大手”は非常にバランスが良い選択肢です。
選び方のコツは、
- 「この地域の販売実績は?」と聞いてみる
- 担当者がそのエリア出身か、経験が豊富か確認する
- 地元業者との連携状況を聞いてみる
といった具体的な質問をすること。
表面的には大手でも、中身は地元に特化した体制を持っている場合もあります。
「地元も重視したいけど、大手のブランドも捨てがたい」
そんな方におすすめです。
疑問をクリアにしていくと、最初はぼんやりしていた「自分に合う業者像」が少しずつ見えてきますよね。
答えは一つではありません。
だからこそ、情報を鵜呑みにせず、自分の条件や価値観で判断することが、納得できる売却への第一歩です。