
築古の家でもリフォームなしで売却できる方法を徹底解説。現状渡し・インスペクション・買取業者の活用法から、築古住宅の成功事例、契約不適合責任のリスク対策、不動産会社の選び方まで網羅。修繕なしで売る戦略を知りたい方は必見です。
築古の家はリフォームなしでも売れる?【まず知っておきたい前提知識】
「古い家って、このまま売れるのかな…?」
築30年以上、長らく人が住んでいない実家。今のままでは売れないのではないか?リフォームしないと無理だよね?そう思って、不安を感じている方は多いのではないでしょうか。
ですが実は、「リフォームなしでも売れる築古物件」はたくさん存在します。
え?本当に?
築40年でも?
何も手を入れずに?
そう思った方にこそ、ぜひこの記事を読んでいただきたいです。
なぜなら、無理にリフォームしない方が「高く・早く」売れるケースもあるからです。
とはいえ、「すべての築古住宅が売れる」と言うつもりはありません。重要なのは、「どういう家がそのままで売れるのか?」そして「なぜ、いま“そのまま売却”が選ばれているのか?」を知っておくことです。
まずは、築古物件でも売却できるケースから見ていきましょう。
築古物件でも売却できるケースとは?
築年数が古い、見た目がボロボロ…そんな家でも、売却できるケースは大きく分けて3つあります。
① 建物価値はなくても「土地に価値がある」ケース
築40年を超える家は、多くの場合「建物の評価はゼロ」です。ですが、土地の場所が良ければ「更地にする前提で購入したい」という買主はたくさんいます。
例)
- 都心や駅近の住宅地
- 小学校や病院が近いエリア
- 再建築可能な整形地
このような土地は、築古であっても資産価値が高いと判断されます。
② 買取再販業者が「そのまま」買ってくれるケース
最近では、不動産業者が自社でリノベーション前提に購入する「買取再販」も主流になってきました。彼らは「自分たちで手直しすること」を前提としているので、あえてリフォーム済みより「手つかずの状態」を好む傾向もあります。
③ 古民家・レトロ物件として価値を見出すケース
「築古=悪」ではありません。最近は古民家カフェや古い建築を好む層も一定数います。実際、地方では築50年以上の物件に価値を見出して購入したい層もいます。
なぜ「リフォームなし売却」が増えているのか?
そもそもなぜ、今「リフォームせずに売却」という選択肢が増えているのでしょうか?
その理由は、大きく3つあります。
✅ 1. リフォーム費用が高騰している
近年は、建築資材や人件費の高騰により、簡単なリフォームでも数百万円単位の費用がかかるケースが増えています。
例えば…
- 水回りの交換だけでも80~150万円
- 外壁塗装は70万円以上
- 全体的な内装リフォームは300万円超えることも
つまり、「費用をかけた割に、価格に上乗せできない」リスクがあるわけです。
✅ 2. リフォーム内容が買主の希望と合わないことも多い
仮にフルリフォームをしたとしても、買主の好みに合わなければ無駄になります。
「新築風にしてほしかった」
「和風を活かしてリノベしたかった」
「設備は自分で選びたかった」
せっかくお金をかけても、内装が原因で買い手がつかない…そんな事例も少なくありません。
✅ 3. 売却スピードが落ちる可能性がある
リフォームには時間がかかります。打ち合わせ~工事完了までで数ヶ月かかることも。その間に市場が変化してしまうリスクもあるのです。
実際、「すぐ売却したい」「相続税の納付期限が迫っている」といった事情がある人にとっては、リフォームは足かせになり得ます。
買主のニーズが変化している理由
最後に、買主のニーズの変化にも注目しておきたいポイントがあります。
結論から言えば、現代の買主は「古さ」を受け入れる傾向が強まっているのです。
なぜか?
✔ DIY志向・セルフリノベ需要の拡大
「自分好みに仕上げたい」
「コストを抑えて理想の住まいをつくりたい」
そんな買主層が増えています。特に20~40代の若年層には、築古物件を自分で手を加えることに楽しみを感じる人も多く見られます。
✔ 補助金やリノベ向けローンの拡充
国や自治体も、空き家活用を目的としたリノベーション補助制度を用意しています。こうした制度を活用すれば、「古い家でも問題なし」と判断されやすくなります。
✔ 中古市場の活性化
新築価格が高騰しているいま、「あえて中古を選ぶ」人が年々増えています。国土交通省のデータでも、中古住宅の流通比率は年々上昇中です(※2023年時点で流通全体の約30%)。
いかがでしたか?
「リフォームしないと売れない」と思い込んでいた方も、考え方が少し変わったのではないでしょうか。
もちろん、すべての築古住宅がリフォーム不要で売れるわけではありません。ですが、無理に費用をかけて後悔する前に、「そのまま売却」という選択肢も一度検討する価値があるのです。
大切なのは、売却戦略を間違えないこと。
そして、物件に合った売り方を知っているパートナーと出会うこと。
築古の家の売却に不安を感じているあなたが、納得のいく一歩を踏み出せますように。
リフォームせずに築古物件を売る方法【3つのポイント】
築古の家を「そのまま」売ると聞いて、こんな疑問を持ったことはありませんか?
- 本当に何もしないで売れるの?
- ボロボロでも買ってくれる人なんているの?
- 売れたとしても、すごく安くなるんじゃ…?
たしかに、築古物件を売るにはちょっとしたコツが必要です。
でも逆に言えば、そのコツさえ押さえていれば、リフォームしなくても売却は可能なんです。
では、どんな方法があるのでしょうか?
ここでは「リフォームなし売却」を成功させるための3つのポイントをご紹介します。
ポイント①:現状渡しの売却戦略を活用する
まず最初に考えていただきたいのが、「現状渡し」での売却です。
これは読んで字のごとく、現況のまま(リフォームや修繕をせず)買主に引き渡す方法です。
「そんなの、相手に失礼じゃないの?」と思うかもしれませんが、実はこの売り方、今ではかなり一般的になっています。
✅ なぜ現状渡しが売れるのか?
- コストがかからない(リフォーム費ゼロ)
- 買主が自由にリノベできる
- 売主の責任が明確になる
現状渡しの場合、「この家はこういう状態です」と説明をすれば、あとは買主が納得して購入するかどうかを判断します。トラブルを避けるためにも、契約書や重要事項説明書に状態をしっかり明記することがポイントです。
例えば、築45年の木造住宅を現状のまま1,200万円で売却した事例があります。売主はリフォーム費用400万円をかけるつもりでしたが、「どうせ全部やり直すなら、今のままがいい」と買主が判断。結果、費用をかけずに満額で売れたのです。
ポイント②:インスペクションを実施して信頼性を高める
リフォームはしなくても、建物の状態は見える化しておく。これが次の重要なポイントです。
そのためにおすすめなのが、「インスペクション(建物状況調査)」の活用です。
✅ インスペクションとは?
住宅診断士(ホームインスペクター)が、建物の劣化や不具合を第三者目線で調査・診断するサービスのことです。
- 屋根や外壁の状態
- 水回りの配管
- シロアリ被害や傾きの有無
- 雨漏り・ひび割れなどのリスク
これらを専門家がチェックし、報告書として提示してくれます。
「築古物件って大丈夫なの?」という買主の不安に対して、事実ベースで安心材料を提供できるので、売却の信頼性が大きく向上します。
また、インスペクション済みであれば、「既存住宅売買瑕疵保険」への加入も可能になることがあります。これにより、購入後のトラブルリスクが減るため、買主も安心して購入を検討しやすくなるのです。
ポイント③:買取再販業者をうまく活用する
最後のポイントは、「誰に売るか?」です。
リフォームせずに売るなら、買取再販業者(リノベ業者)への売却を視野に入れるのが効果的です。
✅ 買取再販業者とは?
不動産を現状のまま買い取り、自社でリフォームやリノベーションを行った上で再販売する業者のことです。
こうした業者のメリットは以下の通りです:
- 内装が汚れていても問題なし
- 瑕疵があっても価格調整で対応してくれる
- 売却までのスピードが早い(最短1〜2週間)
実際、「住まなくなった実家をどうしようか迷っていたが、買取業者に相談したら2週間で現金化できた」という方もいます。
もちろん、買取金額は相場より少し安くなる傾向がありますが、「すぐに売りたい」「手間をかけたくない」「現金化を急いでいる」という方にはとても合理的な選択肢です。
不動産一括査定サイトを使えば、複数の買取業者にまとめて相談することも可能なので、条件を比較して最も納得できる業者を選ぶことが大切です。
まとめ:手をかけずに“売れる状態”はつくれる
リフォームをせずに築古物件を売る方法として、以下の3つを押さえておくと、失敗する確率はグッと減ります。
✅ 現状渡しでコストをかけずに売る
✅ インスペクションで信頼性を高める
✅ 再販業者に相談してスピード売却を狙う
「ボロボロだから、どうせ売れない…」
「高く売るにはリフォームしないとダメ…」
そんなふうに思い込んでいた方にこそ、この記事の内容が参考になればうれしいです。
あなたの大切な築古物件が、ちゃんと評価されて、無理なく売却できることを願っています。
リフォームせずに築古の家を売却した成功事例【具体シミュレーション】
「本当にリフォームなしで売れるの?」
「実際にそんなケースあるの?」
ここまで読んできても、まだ少し不安に思っていらっしゃるかもしれません。
ごもっともです。やはり、言葉だけでは納得できないのが人情ですよね。
そこで今回は、実際に“何も手を加えず”に売却できた事例を2つご紹介します。
それぞれの状況と売却までの流れをシミュレーション形式で解説しますので、「自分のケースに近いかも」と感じた方はぜひ参考にしてください。
例①:築40年の空き家を現状のまま売却したケース
プロフィール
- 売主:60代・女性・一人暮らし
- 所在地:千葉県松戸市
- 物件:築40年の木造2階建て
- 状態:5年以上空き家、水回りに劣化あり
- リフォーム:未実施(予定もなし)
- 査定額(現状):1,080万円
- 売却価格:1,050万円(現状渡し)
経緯と流れ
夫に先立たれた後、都内のマンションに転居し、実家が空き家になっていたケースです。最初は「ボロボロの状態で売れるわけない」と諦めかけていたそうですが、子どもたちの勧めで不動産一括査定サイトを利用。
結果、3社から査定が届き、うち1社が「現状のままでもすぐ売れる」と提案。
買主は、リノベーションを前提に古民家風のカフェを始めたいという個人投資家でした。
特に良かったのは、インスペクションを入れて建物の状態をきちんと可視化できたこと。
「不安がなくなったから即決できた」と買主から感謝されたそうです。
ポイントまとめ
- 駅徒歩10分圏内+日当たりの良い土地が評価された
- リフォームなしでも“用途提案”があると売れやすい
- インスペクション報告書が信頼につながった
例②:相続で取得した家をそのまま買い取ってもらった事例
プロフィール
- 売主:40代・会社員男性(2人兄弟)
- 所在地:大阪府堺市
- 物件:築48年の平屋建て住宅
- 状態:雨漏り、床の傾きあり
- 相続状況:名義変更済み・空き家管理中
- 査定額(現状):500万円
- 売却価格:480万円(買取再販業者に即決)
経緯と流れ
父親が亡くなり、兄弟で相続した実家。誰も住む予定がなく、年に数回の管理も負担になっていたそうです。
「リフォームして売るべきか?」という相談を地元の不動産会社にしたところ、「ここはそのまま売った方が費用対効果が良い」とのアドバイス。
すぐに買取専門業者を紹介され、現地調査のうえ、3日で買い取りが決定しました。
この物件は、業者側がリノベ済みの平屋需要を見込んでいたこともあり、少し傷んでいても気にしないという評価だったそうです。
売主は「手間も費用もかけずに、税金も払えてスッキリした」と笑顔で話していました。
ポイントまとめ
- 相続不動産は、悩まず早めの相談が吉
- 傷んだ物件でも“再販価値”で評価される
- 地元不動産会社+買取業者のタッグが強力
事例から見える「リフォームなし売却」のリアル
このように、築古物件でも「価値ある形で」売却することは十分に可能です。
そして共通しているのは…
✅ リフォームせずとも“買う理由”が明確だった
✅ 売主が一人で悩まず、プロと連携して動いた
✅ 状況に合った「戦略的売却」ができたこと
「古い家=売れない」と思っている方ほど、実はそのままの状態こそが売りやすさにつながることもあるんです。
大切なのは、物件の“劣化”ではなく、どんな視点でその家を見るか。
買主のニーズ、プロの知恵、自分の状況。それらを冷静に見つめたとき、リフォームなしでもあなたの家にはちゃんと価値があると気づけるはずです。
築古物件を売るなら知っておきたい注意点【トラブル防止】
ここまで読み進めて、「リフォームしなくても売れるかもしれない」という希望が見えてきた方も多いかもしれません。
ただ、そこでちょっと立ち止まってほしいんです。
築古物件の売却には、“落とし穴”もあるからです。
たとえば、契約後のトラブルや、想定外のコスト負担など。
「知らなかった」では済まされないケースもあります。
そこでここでは、実際に多いトラブルとその対処法について、事前に知っておきたい3つのポイントをお伝えします。
瑕疵担保責任(契約不適合責任)のリスクと対処法
まず最も注意すべきなのが、「契約不適合責任(旧:瑕疵担保責任)」です。
これは簡単にいうと、「売ったあとに、建物や土地に“重大な不具合”が見つかった場合、売主が責任を負う」というルールです。
たとえば…
- 雨漏りがある
- シロアリ被害がひどい
- 床下に腐食があった
- 境界が曖昧で隣地トラブルに発展
こうした不具合が売却時に告知されていなかった場合、買主から損害賠償や契約解除を求められる可能性があります。
✅ トラブルを避けるには?
- インスペクションを事前に実施する
- 「契約不適合責任を免責」にする特約を明記する
- 現状渡しの説明を徹底し、書面に残す
「私は素人だからわからない」は通用しません。たとえ故意でなくても、「知らなかった」では責任を問われてしまうんです。
もし不安があれば、不動産会社や司法書士に相談し、「契約書にリスク回避の条文が盛り込まれているか?」を必ずチェックしてください。
解体が必要になる場合とその判断基準
「古い家でもそのまま売れる」
これは確かに事実ですが、中には“解体して更地にした方が売れる”ケースもあります。
ポイントは、「土地に対して建物が障害物になっているかどうか」です。
❌ 解体した方がよい可能性がある例
- 建物が傾いていて安全性に不安がある
- 違法建築・増築履歴がある
- 雨漏りや腐食が激しく、買主がリフォームを嫌がる
- 再建築時に「建物が残っていると再建不可」な土地
このような場合は、買主から「解体して渡してほしい」と言われることがあります。
✅ 判断基準は?
- 不動産会社の現地調査(訪問査定)
- 建築士による建物調査(インスペクション)
- 再建築可能かを法務局・市役所で確認
ただし、解体費用は木造2階建てでおおよそ80〜150万円前後かかります。しかも、解体したことで固定資産税が6倍になるケースもあるため、解体は慎重に判断しましょう。
リフォームしても価格に見合わないケース
「この家、ボロボロだから…」
「リフォームしてから売った方が高く売れるのでは?」
そんなふうに思った方もいるかもしれませんが、リフォーム=売却益が増えるとは限らないという点も要注意です。
たとえば…
- 300万円かけてリフォーム → 売却額が+100万円
- 内装を全部きれいに → 買主は「自分でリノベしたい」
- 壁紙や床材を新調 → 数ヶ月後には再施工が必要に
このように、「リフォーム費用に対して売却額が伸びない」パターンが非常に多いんです。
✅ 価格に見合うかを判断するポイント
- リフォーム後の想定売却価格をプロに査定してもらう
- 同エリアの類似物件との価格差を見る
- リフォームすることで「誰向けになるか?」を想像する
もし売主自身が「プロの目線での見込み価格」を把握できなければ、リフォーム前に一度、不動産会社や買取業者に意見を聞いておくのが安全です。
まとめ:築古物件は“売り方次第”でトラブルも回避できる
築古住宅の売却は、確かに簡単ではありません。
でも、「知ってさえいれば避けられる落とし穴」はたくさんあります。
✅ 契約不適合責任の理解と免責処理
✅ 解体の必要性を見極める判断力
✅ リフォーム投資が回収できるかの見極め
これらを押さえておけば、無用なトラブルを避け、納得感のある売却が実現できるはずです。
築古だからこそ、焦らず、正しく、そして“冷静に準備する”。
それが一番のリスク対策になりますよ。